1985年生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業後、東京の編集デザイン事務所で5年勤務。装幀・図録・タイポグラフィを中心に手がけました。
2011年、ニューヨーク・ブルックリンへ単身渡米。Hand-poked(手彫り)専門のアーティストに師事し、3年間アシスタントとして基礎を学びました。マシンに頼らない、針一本ずつのインクの置き方が、自分の中の「絵を描く」という感覚に最も近いことに気づいたのがこの時期です。
2014年帰国、東京・サンプル区の小さな部屋を借りてプライベートアトリエを開設。マシンを使わず、ハンドポークだけを専門にする日本の数少ないスタジオとして、これまでに約450名のお客様の肌に静かなマークを残してきました。
卒業制作で書体設計をテーマに据え、欧文ローマン体の手彫り版下を制作。これが後に針による線描への関心に繋がります。
装幀・図録・展覧会グラフィックを中心に従事。書籍と紙の質感、活版印刷の表面、線の太細にこだわる仕事の中で、手仕事の「跡」に魅了されていきます。
友人の紹介でハンドポーク専門アーティストのもとを訪ね、その日のうちに「アシスタントとして残る」と決めました。3年間、針の研ぎ方、皮膚の構造、衛生管理、図案作成、すべてを学びます。
師から「もう独り立ちできる」と告げられ、ブルックリンの友人宅で初の施術を担当。Botanicalの小作品。今でもこの方とは交流が続いています。
東京・サンプル区の路地奥にプライベートアトリエを構える。完全予約制・お一人様ずつ・ハンドポーク専門という方針を最初から明確に。
欧州のハンドポーク・コミュニティから招かれ、2週間のゲスト施術を実施。ヨーロッパのアーティストとの交流が現在も続いています。
過去7年間の作品150点を収めた写真集を私家版で刊行。500部限定。現在は完売しています。
東京・サンプルのギャラリーにて、写真家との二人展を開催。タトゥーを「皮膚という記憶媒体」として捉え直す試み。
変わらず、お一人様ずつ、針一本ずつ。あと10年、20年、こうして針を握っていられるよう、毎日の手の調子と心の調子を整えています。
タトゥーは、肌に絵を描く仕事ではないと考えています。皮膚は紙ではない。生きていて、変化して、いつか消えるものです。
だからこそ、入れる時間も、図案も、当日のお客様の心の温度も、すべて含めて「ひとつの記憶」になる。私の役割は、その記憶を急がせないこと、煽らないこと、その人の人生に静かに寄り添う一片を残すことだと考えています。
十年経って薄れていく線。それも含めて、その人のものです。私たちはそれを「失敗」とは呼びません。
— 山田 サンプル