朝の渓Morning Valley
6時、客室の障子から差し込む光で目が覚めます。露天風呂に身を沈め、霧に包まれた渓を眺める時間。コーヒーは部屋までお運びします。
山の奥、霧と水だけが流れる渓谷に、
12室だけの宿があります。
時計を外し、息をひそめ、ただ湯と森のなかへ。
— Morning mist, in the valley.
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静谿は、テレビも時計もない宿です。電波は弱く、夜は鳥と水の音だけが響きます。「滞在中、何ひとつ予定を組まないでください」とお伝えしています。
本当の休息は、計画の外側にあります。私たちは予定の代わりに、静かな景色と、温かい湯と、土地のものだけで仕立てた夕餉をご用意しています。
1968年、初代主人がこの渓谷に小さな湯宿を開いてから、私たちが守ってきたのはたったひとつ。「お客様の時間を、何にも奪わせない」ことです。
朝、湯、夕、夜。私たちが用意できるのは、この4つの時間だけです。何も足さず、何も引かず、ただ整えて、お渡しします。
6時、客室の障子から差し込む光で目が覚めます。露天風呂に身を沈め、霧に包まれた渓を眺める時間。コーヒーは部屋までお運びします。
地下1800mから自噴する、無色透明の弱アルカリ性源泉。内湯・露天・貸切。湯量は毎分320L。加水・加温・循環・消毒、何もしません。
18時から、ひと組ずつお席へ。山菜・渓流魚・地鶏。半径15kmの食材だけで仕立てる、月替わりの八寸と椀物。お酒は地酒6種。
21時、館内の照明は段階的に落とされます。窓辺の灯と、川の音と、薄い闇。読書のための薄手の文庫を、客室に三冊ずつご用意しています。
同じ間取りはひとつもありません。渓に向き合う窓の角度と、湯の温度、畳の縁の色が、それぞれの部屋の個性です。
Sui — Suite with Open-Air Bath
渓谷の最も深い位置に建つ、露天風呂付きの特別室。主室12畳・次の間6畳・檜の半露天。窓から見えるのは、向かいの斜面に育つ栗と楓だけ。
Tsuki — Tatami Room facing the Moon
南西の高台に位置する角部屋。京間12畳と縁側、漆喰と杉板の天井。月の出が美しい部屋として、初代主人が好んだ部屋。
Yume — Modern Japanese with Bed
和の意匠を残しながらベッドを置いた、和洋折衷のお部屋。8畳の和室にキングサイズのベッド、足元には床暖房。ご年配のお客様にも好評。
魚も、米も、酒も、宿から半径15km以内で揃うものだけ。月ごとに献立を組み替え、年に12種類の食卓をお出ししています。
八寸・椀物・お造り・焼物・蒸物・揚物・酢の物・食事・水菓子。器は四代目の作陶。盛りつけは料理長が一品ずつ仕立てます。お席はひと組ずつ、18時より。
夕餉の後、21時から24時まで。土地の蔵元6種の地酒、自家製の梅酒、薪火で温めるホットウィスキー。カウンター8席のみ。予約は不要、ふらりとお越しください。
最寄り駅から車で50分、空港から2時間半。来るのに時間がかかる場所であることも、私たちの設計のうちです。
江戸期から続く湯治場。古い湯宿が点在する温泉街を散策できます。
— 徒歩 12 分標高差80mの遊歩道。新緑・紅葉・冬枯れ、どの季節も歩けます。
— 宿の裏手から直結この地域に伝わる手仕事と暮らしの道具を収蔵する小さな館。
— 車で 8 分宿泊は1泊2食付が基本です。長くお過ごしになりたい方、特別な日のために選ばれる方へ、3つのプランをご用意しています。
祖父が1968年にこの渓谷に小さな湯宿を開きました。父はそれを少し増築し、私はそれを少しずつ静かにしてきました。テレビを外し、Wi-Fiの強度を弱め、館内の照明を1段階暗くしました。
「便利になることは、宿としては後退かもしれない」と父が言いました。私はその言葉を信じています。何もしないために来ていただく宿として、これからもこの渓を守ります。