止まった機械式時計には、止まった時間と、その背後に残された記憶が刻まれている。1968年から三代、当家の工房はその沈黙を解き、針を再び動かしてきた。Patek Philippe、Vacheron Constantin、Rolex、Omega、そして Seiko。名機の鼓動を取り戻すのが、私たちの仕事である。
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1968年、初代が工房を開いた頃、街の時計はすべて機械式だった。やがてクオーツが世界を覆い、機械式時計を直せる職人は減り、当家もまた絶滅危惧種の一員となった。だが、私たちは止まらない。日本各地から預かる Patek Philippe や Rolex の名機を、当時のテンションゲージと顕微鏡で、ひとつずつ。
機械式時計は、修理ではなく「読解」する道具である。何が起き、何が傷み、何が残されているか。その問いに答えるため、私たちは三代の手記と、五十年分の部品ストックを保有している。
PROVENANCE を見る →工房で扱うのは主に1940〜1980年代の機械式キャリバー。当時の純正部品、もしくは互換可能なNOSパーツのみを使用する。
パテックの汎用機の中で最も信頼されるキャリバー。テンプ・ヒゲゼンマイの調整に最大の集中を要する。
世界最薄級の手巻き機構。歯車の偏心と、超薄香箱の摩耗に対する診断が肝要となる。
サブマリーナーやデイトジャストに搭載された自動巻きの名機。ローター軸の摩耗対応が中心。
コンステレーションが纏った自動巻ムーブメント。クロノメーター精度を再現する調整に経験が要る。
初代セイコー5の心臓。シンプルな構造ゆえに、経年部品の選別が修復の精度を左右する。
懐中時計、柱時計、エイトデイクロックなどもお預かりする。木枠・ガラス・分銅の修復もこの工房で行う。
1962年製 Rolex Submariner Ref.5512。三十年前に止まったまま遺品として届いた個体。完全分解清掃と、テンプ修理、防水点検を経て、出荷時の精度を取り戻した。
お預かりから完了まで、平均して90〜180日。急いで仕上げる時計はない。一つひとつのキャリバーが固有の物語を持つため、所要日数も個体に応じて変動する。
顕微鏡下で全体観察。テンプの振動、ヒゲゼンマイの状態、歯車の摩耗、ケースの腐食を確認し、見積を作成する。
ムーブメントを完全分解。100以上の微細パーツを記録写真とともに保管。順序は厳格に管理される。
専用洗浄機にて超音波洗浄。50年分の油と塵を除去し、すべてのパーツを再び輝かせる。
摩耗した部品を、当時の純正もしくはNOSで交換。当家の部品ストックは50年分・約3万点。
各部に適切な粘度のオイルを注し、再び組み立てる。テンプはミクロン単位で調整される。
タイムグラファーで姿勢差・歩度を測定。出荷時のクロノメーター精度を目標に追い込む。
修復記録書とともにお引き渡し。納品後2年の精度保証付き。次回オーバーホールの推奨時期も記載。
"時計は時間ではなく、誰かが過ごした時間を測るものである。
私たちは時計を直しているのではなく、その記憶を取り戻している。"
遺品の懐中時計、父から受け継いだロレックス、引き出しに眠る古い柱時計。お手元にある「止まった時計」を、ぜひ一度お預けください。
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